イノベーティブなおつまみジェラート『LABORATORIO』
小田原の名産品を使ったジェラート達
レモンなど柑橘系フルーツを筆頭に、野菜などの農産物も盛んな小田原。地のモノを使った面白いジェラート屋さんが増えています。
小田原の搾りたての牛乳を使った定番人気のミルクジェラートは後味がさっぱり。
メニューは40種類以上あり、常時13~17種類が店頭に並んでいます。
曽我梅林の梅まつり会場から近く、その時期限定の梅酒ジェラートは隠れた人気だとか。
アイコトマト、焼き芋、焼ナス、落花生、完熟梅など、自社のはなまる農園で作った野菜を中心とするここでしか味わえない面白いジェラートがたくさん。
ジェラート以外にも野菜を使った料理も美味しくておすすめです。
小田原のみかんなど柑橘系を使ったジェラートが人気。
中でも低農薬国産レモン果汁を贅沢に20%使用した片浦レモンジェラートは特におすすめです。
海まで歩いて30秒!20年近く使われていなかった倉庫をリノベーションしたおしゃれなお店です。
映える写真が撮れると最近話題のスポット『海へと続くトンネル』もすぐ目の前。
小田原産のいちごやブルーベリー、足柄茶の抹茶と紅茶など、地元食材を使ったジェラートを一つひとつ手作りしています。
老舗有名店の焙煎珈琲『スズアコーヒー』『ケントスコーヒー』とのコラボジェラートもあります。
中でも気になったのが、2021年5月6日にオープンした本場イタリア仕込みの『LABORATORIO』にて、バータイム17時から提供しているという「おつまみジェラート」なるもの。
「たい焼き最中の豆腐のジェラート」
「とろろ昆布のせわさび漬けのジェラート」
「人参とクミンのジェラートパクチーと松の実のサラダ仕立て」
「ビーツのジェラートゴルゴンゾーラと胡桃添え」
「アボカドのジェラート豚ひき肉と玉ねぎのスパイシーワッフルのせ」
「ホワイトアスパラのジェラートオランデーズソースがけ」
一見ただの映え狙いかと思いきや、よく読むとかなりゴン攻めなラインナップ。イケイケなミシュラン店で出てきそうな意表を突くメニューです。
小田原駅から『LABORATORIO』への行き方
小田原駅西口から徒歩2分。
東口側はミナカ小田原や有名土産店が多く観光客で賑わっていましたが、西口側は一転、緑が多く閑静な住宅街といった雰囲気で、地元に帰ってきた気分になります、地元じゃないけど。
駅を背に直進。途中左手には有名な『天史朗鮨』が見えます。
観光客はもちろん、地元客からの人気も高く、ランチタイムには行列が絶えないお店です。予約必須。
そのまま真っすぐゆるやかな坂道を登ると見えてきました、おしゃれな外観。
ちなみに、ご覧の通り駐車場はないので、徒歩か自転車(レンタサイクル)で来ることをおすすめします。
当店に限らずですが、小田原市内の店舗評価では「客がロチューしてるのに店側は野放しっ」といった地元の方の口コミ?タレコミ?をよく目にしますので、車で来る方はそのあたり配慮してあげましょう。
本格的なジェラートとエスプレッソ
看板には”GELATERIA & DRAY FLOWER SHOP”の文字。ジェラートとドライフラワーのショップが隣接しているようです。
LABORATORIOはイタリア語で工場(こうば)や工房という意味で、ジェラートやエスプレッソを出すイタリアの街角バルをイメージしているそう。
ジェラート本店は熱海にある『Gelateria ai pinoli』の方で、AL PINOLIはイタリア語で松ぼっくり=シチリア島では幸福の象徴、幸福の訪れるジェラートという意味を込めているそうです。
ジェラートの種類は時期によって変わります。この日のジェラートは、
「佐野さんの紅ほっぺ」小田原のUMIKAZE FARMで収穫した苺
「フレッシュミルク」低温殺菌牛乳を使用したプレミアムミルク
「ピスタチオ」イタリア産ピスタチオ
「チョコラータ」2種類のクーベルチュールチョコレート
「菩提樹ハチミツ&リコッタチーズ」朝翠養蜂のハチミツ
「ストラッチャテッラ」ミルクジェラートにパリッとチョコチップ
他にも季節限定で、コーヒージェリー、シチリア桃100%、ピーナッツバター、トリュフ、小田原枝豆(ずんだ的な?)、Marsala酒ラムレーズン、塩をまぶしたすいかジェラートなど、その時しか出会えない変わり種があるそうで面白い。
そしてそして、通常メニューの上には今回お目当ての「おつまみジェラート」の写真が鎮座していらっしゃいます。
メニュー表の最初にエスプレッソがあるあたりがイタリア。
平日限定で学割ALL30円引き。そんなに学校帰りの学生がくるのかと思いきや、実際に常連風の女子高生が買いにきていました。こんなお店が近所にあるなんて羨ましい限り。
イタリアでもよく見かける「FIORENZATO」のエスプレッソマシン。1936年にヴェネツィアで創業した有名老舗メーカーで、たいてい1台100万円以上します。本格的なイタリアのエスプレッソが小田原で320円から飲める、これまた羨ましい限り。
ワッフルやクロッフルに好きなジェラートをのせて、ソースやトッピングをカスタマイズし放題という、甘党には夢のようなデザートもあります。
バータイムにはイタリア産ワインも飲めます。
花を眺めながらジェラートを待つ
大きな窓の開放的なイートインスペースの奥には、
ドライフラワーショップ『caprice(カプリス)』。この日は生花も少し入荷していました。
壁掛けや天井から吊り下げるタイプのドライフラワー。
アロマデュフューザーにもなるドライフラワーバーなど、creemaにも出店しているそうです。しゃれおつ。
ドライフワラーを眺めながら優雅な気持ちでおつまみジェラートの出来上がりを待ちます。
ミシュラン級のおつまみジェラート
このあとすぐ夕食が控えていたため、注文は軽く3皿にとどめましたが、この判断はのちに後悔することとなります。
「とろろ昆布のせわさび漬けのジェラート」450円
口に含んだ瞬間、酒麹の風味が広がり、追いかけるようにわさびの爽やかな香りが抜けていきます。
とろろ昆布の塩気と昆布がジェラートとともに溶ける食感が絶妙。
確実にわさび漬け、なのに確実にジェラートという完成度です。辛くはないので子ども舌の大人でもいけます。
発酵・わさび・海藻という日本的な味の構成に、果たしてイタリア人そして世界のグルマン達はどんな評価を下すのか、ぜひとも伺ってみたい。
個人的イチオシの一皿。
「人参とクミンのジェラートパクチーと松の実のサラダ仕立て」450円
人参、クミン、パクチーの風味で、バンコクのイノベーティブレストランで出てきそうなエキゾチックな味わいです。
下のパリパリ生地もいいアクセントで、全体的にさっぱりと食べ進められます。
他の2皿に比べるとやや驚きに欠けますが、逆に言えば見た目を裏切らない味。
エスニック好きの方におすすめ。
「ビーツのジェラートゴルゴンゾーラと胡桃添え」450円
笑っちゃうくらいTHEビーツな味です。
色もですが、食べた瞬間、ビーツ独特の土の香りとほのかな甘みが広がります。
散りばめられた濃厚なゴルゴンゾーラや香ばしい胡桃も、ビーツの強いクセと相性がよく、まるで小洒落たアンティパスト(前菜)のよう。
ビーツはそれほど得意な野菜ではないのですが、これはアリです。
一般的に温度が下がるほど人間の鼻と舌は香りや味を感じにくくなるため、冷たいジェラートでここまで素材本来の風味を再現できるのはすごすぎ。思わずどうやって作っているのか聞いてしまいました。
連れイチオシの一皿。
いやーびっくりしました。全てが想像の斜め上をいく美味しさ。
元となる素材や五味の構成を考えさせる面白さがあり、いい年した大人が大満足できるジェラートです。しかも1皿450円の小田原価格。
余談ですが、ガンベロ・ロッソ(イタリア版ミシュラン)でトレコーニ(3星)の常連であるモデナのGelateria Bloomでベルガモットジェラートに出会ってからジェラートの概念が変わってしまい、以来、日本のジェラートはジェラートにあらずといつも残念に思っていました。それがまさか小田原で(失礼)、現地レベルのジェラート、というかもはや立派なドルチェに出会えるとは、胸熱。
熱海にレストランもあります
当日ご本人はいらっしゃらなかったのですが、オーナーシェフの相松さんは、銀座「LA BETTOLA da Ochiai」をはじめ、シチリア島「Ristorante Duomo」やベネト州「Ristorante le calandre」など星付きレストランで研鑽を積み、一夜城ヨロイヅカファーム在籍中には「RED U-35」にてBRONZE EGGを受賞された方だそうです。
現在は、熱海駅前でジェラテリアGelateria ai pinoliやイタリアンレストランLEONE 9も経営されているそうなので、次回はぜひ食事もいただいてみたいです。
※この記事内容は、2022年6月時点での情報です。