もったいないをありがとうに。城マルシェのフードドライブ
ご家庭の食品棚に、いただきものや買い置きのまま残っている食品はありませんか。まだ食べられるのに出番を逃してしまった食品を、必要としている誰かへつないでいく――そんなやさしい取り組みが、今夏の小田原城マルシェで行われます。
2026年7月19日(日)・20日(月・祝)、小田原城 二の丸広場で開催される小田原城マルシェでは、会場内にフードドライブ受付ブースが設けられ、来場者が持ち寄った食品を地域の支援へつなげていきます。食べものを無駄にしないことと、地域で支え合うこと。その二つをやさしく結ぶこの取り組みは、いまの小田原にこそ大切な活動だと感じています。
小田原城マルシェで広がる、やさしい支え合い
小田原城マルシェのフードドライブは、単に食品を集めるだけの企画ではありません。会場で預かった食品は、NPO法人 報徳食品支援センターと連携し、小田原のまちで食の支えを必要としている方々へ大切に届けられます。公式案内でも「あげる」ではなく「分けあう」、「捨てる」ではなく「つなぐ」というメッセージが掲げられており、夏休みのはじまりに、家族で地域への思いやりを形にできる場として呼びかけられています。
マルシェには、グルメやクラフト、音楽、体験企画など、家族で楽しめる催しが並びます。そのにぎわいの中に、誰かの暮らしをそっと支える入口があることも、このイベントの大きな魅力です。楽しい時間の延長線上に、地域のやさしさがある。そんな景色が、小田原城マルシェにはよく似合います。
報徳食品支援センターがつないでいるのは、食品だけではありません
NPO法人 報徳食品支援センターは、2019年に小田原で生まれたフードバンクです。小田原市を中心に、南足柄市、足柄上郡、足柄下郡の2市8町で活動し、食品メーカーや流通業者、地元農家、市民から提供された食品を、地域で支えを必要としている方々へ無償で届けています。地域の社会福祉協議会や自治体とも連携しながら、「食べることに困らない地域社会」を目指して取り組みを続けています。
フードバンクとは、品質に問題はないものの、規格や流通の事情などで行き場を失ってしまった食品を受け取り、必要とされる場所へ無償で届ける活動です。食品ロスを減らすだけでなく、地域の支え合いを形にする仕組みとして、農林水産省や消費者庁もその意義を示しています。
配布会で見た、食べものの先にあるもの
私はこの取り組みを知るなかで、報徳食品支援センターさんが開催している配布会を実際に見学させていただきました。そこで強く感じたのは、これは単なる「食品の配布」ではない、ということでした。
その日伺ったのは、小田原市内の高齢者向け住宅です。配布会の時間になると、住民の方が「今日も来たよ」と笑顔で声をかけながら集まってこられました。迎えるボランティアの方々も、「元気?」「体調はどう?」と自然に言葉を交わし、会場にはやわらかな空気が流れていました。そこにあったのは、食べものの受け渡しだけではなく、人と人とのあたたかなつながりでした。
配布されていた食品の内容も印象的でした。ホテルの料理人が手がけたお弁当をはじめ、お菓子やデザート、保存食、お米、パンなど、暮らしに寄り添う食材が丁寧にそろえられていました。ただ「量」を配るのではなく、「今日の食卓が少し明るくなるように」という思いまで一緒に届けているように感じられました。
さらに心に残ったのは、この配布会が安否を気づかう場にもなっていたことです。ボランティアの方からは、年金で暮らす方の生活に配慮し、年金受給日の少し前に開催日を設定していると伺いました。その一言に、数字や制度ではすくいきれない、生活者目線のやさしさを感じました。
また、足が不自由で階段を下りるのが難しい方には、ボランティアの方が直接お部屋まで配布物を届けていました。名簿を見ながら「今日はまだ来られていないね」と声を掛け合う姿もありました。そこには、配ることを超えて、地域の中で互いを気づかうまなざしが確かにありました。
そして、見学の途中で伺ったお話に、私は言葉を失いました。前回の配布会では元気に顔を見せてくださっていた方が、次の月にはもう会えなかったことがある――そんな現実が、このまちの中にもあるのだと知ったのです。外からは見えにくい孤立や不安が、確かに身近にある。そのことを知ったとき、私は自分にできることを改めて考えました。
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だからこそ、城マルシェでフードドライブを始めたい
その現実を前にして思ったのは、大きなことではなくても、自分にできることを少しずつ重ねていきたい、ということでした。小田原城マルシェという、人が集まり、笑顔が生まれる場がある。だからこそ、その場の中で、地域の支え合いにつながることを始めたい。そう考えて、このフードドライブの取り組みにつながっています。
食の支えを必要としているのは、高齢の方だけではありません。子育て中のご家庭、ひとり親家庭、さまざまな事情で暮らしに負担を抱えている方など、支えを必要としている方は私たちのすぐ近くにいます。見えにくいからこそ、見過ごしたくない。特別なことではなく、同じまちで暮らす者どうしが、できる範囲で思いやりを持ち寄ることが大切なのだと思います。
食品ロス削減と地域の支え合いを、同時にかなえる取り組み
いま日本では、まだ食べられる食品が多く捨てられている一方で、食の支えを必要としている方もいます。環境省の紹介では、国内の食品ロスは年間約523万トン、そのうち家庭から出る食品ロスは約244万トンにのぼります。フードドライブは、こうした家庭内の“まだ食べられるのに使いきれない食品”を、地域の支えへと変えていく身近な方法です。
つまりフードドライブは、「もったいない」を減らしながら、「ありがとう」を増やしていく活動です。食べものを無駄にしないことと、誰かの安心につなげることを、同時にかなえられる。そのやさしい循環を、小田原のまちで少しずつ広げていけたらと思います。
フードドライブにご協力いただける食品について
小田原城マルシェのフードドライブで受け付けているのは、賞味期限が2カ月以上残っているもの、未開封で包装や容器に破損がないもの、常温保存ができるものです。お米、乾麺、レトルト食品、缶詰、調味料、お菓子、飲料、粉ミルク、離乳食などが対象になります。
一方で、賞味期限が2カ月未満のものや期限切れのもの、冷蔵・冷凍食品、アルコール類、開封済みのもの、手作り食品、包装や容器が破損しているものなどは受け付けできません。安全に、確実に必要な方へ届けるための大切なルールです。
受付は、7月19日(日)・20日(月・祝)の10:00〜16:00、小田原城 二の丸広場のフードドライブ受付ブースで行われます。食品は紙袋やエコバッグで持参でき、食品以外に現金寄付やd払いによる応援募金も受け付けています。
さいごに
小田原には、歴史や自然、おいしいものだけではない魅力があります。困ったときに声をかけ合い、できる形で支え合おうとする、人のあたたかさです。
ご家庭にある、まだ食べられる食品が、誰かの食卓を支え、地域の安心につながるかもしれません。ほんのひと品でも、その思いやりはきっと届きます。
もったいないを、ありがとうに。
小田原城マルシェのフードドライブに、ぜひご協力ください。
一つひとつ、丁寧に。
このまちでできる支え合いを、これからも育てていけたらと思います。